ハッピーエンドと言う言葉をご存知だろうか。
悪の黒幕を倒し、一躍ヒーローになった主人公。
数々の試練を乗り越え、意中の相手と結ばれた主人公。
この世には様々な形のハッピーエンドがある。
だが、それはお話の中だからこそのエンドなのだ。
現実として「ハッピーエンド」なんて物は存在しない。

死が終わりだなんて単純な事を言うつもりは無い。
腹を切れば事が済む時代はとうに過ぎたのだ。
そんな現代の「エンド」やら「フィン」とは、何なのだろうか。






終わらない夏休みを過ごす友達がいる。
勉強にスポーツに何でも万能だった自慢の友達だ。
それなのに中学2年の夏から、奴はどこか違う世界に行ってしまった。
と言っても死んだ訳じゃない。
ただ、学校にも職場にも行かないだけだ。
あの中2まではこっちに居たはずなのに、何故に戻って来ないのだろうか。
言わば奴はレールを外れた訳だ。
映画で言うならば、あの夏休み前の教室がラストシーンになるのだろうか。

ただ、物語と違って。
現実はいつまでも続いているのだ。
黒幕を倒してヒーローになった主人公もいつかは悪に堕ちるかもしれない。
意中の相手と恋仲になっても、いずれ分かれるかも知れない。
勉強もスポーツも人一倍できて、言わばクラスのモテモテ君だった「奴」は、もしかしたら未だに童貞なのかもしれない。
現実の残酷さってのはこういう事を言うのかもしれない。

はて。
こんな現実の残酷さと、ドラえもん的な永遠を描いているのが今回の「アフロ田中」って訳なのだ。
言わばダークサイドに堕ちなかった古谷実作品と言っても良いと思う。
特別面白いわけじゃないが、その「特に面白い訳じゃない」って所が、なんだか人生に似ていて逆に笑える事もある。

松井でもイチローでも新庄でも無い。
言わば巨人の阿部って所なのだが。
このパーツを外して物語は語れない事は言うまでも無い。
取り合えず「俺、けっこう知ってるよ?」的な感じを知った被りたいならば、アフロ田中を押さえてみるのもいいかもしれない。
そう思うわけですよ。














ISBN:4091874541 コミック のりつけ 雅春 小学館 2005/09/30 ¥530

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