すべからく誰しも悪を憧れる事がある。
遅いか早いかの違いはあれど、誰にだってそんな時期はあったはず、それが心理だ。
ただ、その憧れた「悪」ってのは本当に悪だったのだろうか。
場末のピカレスク小説に出てくるちっぽけなチンピラの悪と、大きすぎて見えない搾取の悪。比べてみれば差は歴然だけれども。
その「差」ってなんなのだろう。

闇金ウシジマくんの登場人物はどこか必ずまともなのだ。
みんなまともなのだけど物語が狂いだすのだ、それがこの漫画の肝と言ってもいいと思う。
まともな世界の片隅に突如として現れた落とし穴。
それに足を取られた者は大抵に首の辺りまでドップリ浸かってしまう。
ただ、首の上だけはまともな世界にある。
その首の上の世界のせいで彼らは苦しんでいるのだ。
裏と表、どちらが悪なのか。
思春期程度の悪への憧れでは本書を読んでは欲しくない。
どちらかと言えば、夢の国の下水事情やネズミとアヒルの中の人の順列。
そんな物に興味の有る人に読んで頂ければ面白いんじゃないかと。
そう思うわけです。






ISBN:409187343X コミック 真鍋 昌平 小学館 2005/10/28 ¥530

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